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芦屋ロックガーデンボルダーpt.1 山櫻:初段 セッション、マット、スポットについて

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芦屋ロックガーデンボルダーの開拓もこの岩から始まったと言えるマイルストーン的なボルダー。SHMWもおかげさまでオープンからこの9月で12年と早くも経過したが、創業してから数年後に登った思い出深い課題。芦屋ロックガーデンのハイキングエリアにて、一番近いところで見つけやすい場所にあったので、必然的にココから最初に触り出して開拓したボルダーだった。ボルダーのすぐ脇に山櫻の老木があり、ちょうど山櫻の咲く頃の寒い春先に登ったのがこの「山櫻」というネーミングの由来。このボルダーの課題の中では一番難しいラインで、スローパーとカチを駆使して登るテクニカルな好課題。SDスタートで始めて、リップをトラバースして右上するが、ホールドは多彩で幾つか存在するので、ライン取りも重要。チョークが着いていなかったらOS一撃は難し。谷の中だが、意外に空気がこもる場所なので、暑い夏や湿度が高い時はかなり難しく感じるので、フリクションが良くなる冬から春にかけてがオススメ。

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登る時に注意して欲しいのは、このボルダーはトレイル横にあるので、朝でも夕方でもハイカーさんなどの通行の妨げにならないように考えて遊んでいただきたい。特に大勢でのセッションでのボルダーマットの多くの乱雑な配置や置きっ放しには十分注意して欲しい。通行するハイカーさんなどが来たら、絶対にマットを退けるように。また、同じボルダラーに対しても然り、昨今は外岩のボルダリングは決して一人では行かないでください。マットは絶対に使用してください。登っている人がいたら絶対にスポットをしてください。といつの頃からか、言われるようになってきているみたいだが、そもそも、山をやっている人たちがロープクライミングとは違って、ビレーヤーが不要で一人でも岩登りの練習がコツコツとできるから広まったスタイルがボルダリング。なので、今現在だって、独りでボルダリングをしている人たちはここ日本にも沢山いる。もちろん、独りで黙々と練習に励むストイックなスタイルから、その後はUSAのボルダリング文化と共に「セッション」して、マットを動かしたり、スポットしたりと助け合いながら強くなっていった文化もボルダリングであるが、そもそも、ボルダリングの原点は独りでひたむきに安全をコントロールしながら、そのボルダーと対峙する岩遊びのシンプルなスタイルがボルダリングであった。


自分を含め本来のクライマーの多くは、セッションをやるときはもちろん多々あるが、独りで黙々と影練して強くなりたいという時も多々ある。そんな時に、先に岩に取り付いているから優先権があるということではなく、独りで来ているボルダラーを初心者や経験者関係なく、集団で来ている側が、一人の人に気を遣う必要性があるはずだ。今や外岩だけでなく、インドアクライミングジム内でも、一人で登りに行った時のセッションしている軍団の空気感に馴染めないで思うように登れなかったという経験は誰しもクライマーならあるはずだ。サーフィンの波乗りの世界でも、モロにこれは当てはまるのだが、ビーチブレイクならまだ良いが、リーフブレイクなどの波を遊ぶポイントが小さい場所で遊ぶ場合は、まず大勢でのセッションは暗黙の了解で禁止。これを知らずに入ってしまうとパンチアウトといった感じでローカルにボコられるほど。遊ぶポイントにビギナーが入るということを禁止としている訳ではなく、要は友達を連れて来るということは、他のサーファーのことを考えてその遊び場に人を連れて来いよ。人が多い週末なのか、平日なのか、時間帯はどうなのか、要はTPOを考えろと。ボルダリングはそこまでローカルがキツくなかったので、今までピースフルにやって来れたが、これからは自分たちの愛すべき遊び場を守っていくためにも、こういう当たり前のことを指導者や上に立つものは伝えていくべきであろう。


ボルダリングマットにしても、昔は一人で一枚持って行き、自分にとっての核心部分の下に敷く位であり、自分のトライが終わったら、お先に失礼しました!みたいに、サクッと自分のマットを外して、次の方どうぞ!テキなサラッとしたスタイルであった。だが、時代と共に、いつの間にかマットは敷きっぱなし、誰が誰のマットだか分からない、マットを岩の下全体に敷き詰めた方が安全にトライできる。マットを敷いておくことが親切みたいな感じの雰囲気になっている。これは今まで先人が築いてきたボルダリング文化というスタイルをリスペクトしていないし、うまく継承していないように感じる。もちろん、マットを否定している訳では毛頭なく、自分も難度の高い被っている課題などは、背中や腰から落ちたりするので、マットは幾つか使用して、マットを使ってでも登りたいと思うから登る訳で、逆に低いボルダーや、下地が良いスラブ課題やトラバース課題などはボルダリングの自身で安全をコントロールするという精神的な部分を養うために、時にはノーマットで登ったりする。要はTPOでマットの使用も自身で考えて、色々な意識の元で登るクライマーがいるからこそ、他人に不快な思いをさせないように登ればOKなのかと。「セッション」という言葉は今の時代、聞こえは良いが、良くも悪くもピン切りかと。そもそものセッションはミュージシャンやコアなアウトドアスポーツをやっているヤツら同士で、個人個人で練習して上手くなって、強くなって、そして、たまにこの「セッション」を繰り返してイケてるヤツらが切磋琢磨してやるからこそ、自身だけではなく、良きライバルとと共にさらにレベルアップが図れる。これが真のセッションかと。ただ、現代はみんなと楽しく登る、走るということ自体をセッションと言っているが、それはセッションが安っぽくなってしまうはずだ。その時だけ参加していても一向に強くならないし、影練したり、独りででもボルダリングの練習で登ったり、トレイルランニングでも走り込んだ連中が集まるからこそオモロいセッションとなる。要はアウトドアの遊びは全てと言って良いほどに、「努力の賜物」努力の積み重ねで、自然との接点を感じて楽しみを感じる遊び。楽しいーと言っているセッションだけではその遊びの「真の楽しさ」なんて分かりはしない筈。もちろん、レベル問わず気の知れた皆んなでワイワイするFUNセッションも楽しいし、自分もその時間もHAPPYさを感じる。ただ、その他にも自分自身のみで考えて努力する時間を作ってやる事によって、セッションの大切さや真の楽しさが感じられるはず。


世界中がセッションスタイルでのボルダリングとなっている今だからこそ、あらためてボルダリングのスタイルとは何か、原点とは何か?マットを使う使わないは自分自身で決めること、スポットもやらなくてはいけないではない、やたらめったらやっているのを見ていると何だか外岩ボルダリングも興ざめしてしまう。ムーブの練習で、どうしても後ろからスポットをして欲しい、今の自分のチカラの段階ではこの課題は厳しいので、スポットをしてもらってでもムーブを固めたい。そういう気持ちがあるからこそ、人にスポットを頼むものである。友達同士で行っているから人のスポットは当たり前という意識ではなく、お互いがレベルアップするためだからこそ助け合う。「セッション」「マット」「スポット」についてあらためてこれを機会に考えてみていただき、この芦屋ロックガーデン界隈のボルダーエリアに関しては、登山道脇以外にも藪を分け入り、森の中に入って遊んだりする場所で、低山や里山ながらも、ヘリ救助も多い遭難多発地帯だからこそ、そこらの公園ではなく、バックカントリーの山の中で遊ぶということを考えられる人だけに入っていただきたい。その意識が無い人はいくら高難度が登れる人でも入山はご遠慮願いたい。

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山櫻:初段

話し戻って、このボルダーの横のトレイルでも、ハイカーやトレイルランナー、MTBバイカーでも同じ山の中で遊ぶ人間として、挨拶はもちろんニコッと笑って世間話しでもして、できたらボルダリングという遊びのスタイルをそのままこうやって遊んでるんですよと盛り上がってもらったらなおベターかと!課題はSDで始まりペタペタと登ってください(笑)OS一撃したい方は動画は観ないでねー。

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Tak's Traverse:初段

こちらは山櫻を登った方向けのトレーニング用限定課題。SDで右端からスタートしてトラバースして、ボルダーの上のリップは一切使わずに、最後までトラバースして抜ける。前半のスローピーセクションから後半のクライムダウン、左最奥端のホールド取りまでパンピートラバースで面白いので、是非トレーニングにでもどうぞ!

肝心なエリアの場所についてだが、これは是非ともこの記事を読んで興味があったら、六甲山の登山地図を持って、SHMWのお店に来ていただき、気軽に声をかけていただきたい。経験者の方であれば、同じような山への意識を持ったボルダラーの方なら喜んでお伝えしますし、ビギナーの方であれば山での地図の重要性や楽しみを「会話」を通じて、山でのボルダリングのお話しをさせていただきます!また、見つけたら、ボルダーは誰のモノでも無いので、気兼ねなく登ってくださいね。




by skyhighmw | 2019-11-23 18:02 | 兵庫県

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